血管腫(赤アザ)の治療
この治療にはパルス幅可変式色素レーザーを用います
単純性血管腫は、生まれつき真皮内の毛細血管が太かったり多かったりして、皮膚が赤くなっている状態です。
色素レーザーを照射すると、赤血球の中にある酸化ヘモグロビンにレーザー光が吸収され、光エネルギーが熱エネルギーとなって一瞬で高熱が発生します。その熱が血管壁を傷害し、閉塞することで、異常な毛細血管が減っていき、徐々に赤い色が薄くなっていきます。
治療を何回も繰り返さなければなりません。また、すべての単純性血管腫を完全に治療できる色素レーザーは、現時点では存在しません。異常な毛細血管の深さ、太さ、量などにより、レーザー治療が効きやすいもの、効きにくいものがあります。一旦色が薄くなった部分が、また濃くなってくることもあります。そのときは再度治療を行えばまた薄くできます。
通常、苺状血管腫は生後3週ごろまでに皮膚に赤い部分が生じ、3か月ごろまでは急速に増大し、半年から1年ごろにピークとなり、その後小学生頃までに徐々に自然退縮します。平らなタイプと膨らむタイプがあり、膨らむタイプは傷跡が残ることがあります。少し赤い色が残ることもあります。
あまり大きくなる前に色素レーザー治療を開始すれば、増大を抑えられる可能性があります。平らなタイプはレーザー治療が効果的ですが、膨らむタイプは特に一旦大きくなってしまうとあまり効果がありません。なので、治療を始めるならごく初期が望ましいです。
また、膨らむタイプは急速に大きくなると潰瘍を生じたり、退縮後に目立つ傷跡が残ります。レーザー治療に反応しにくいので、顔などに生じた場合はプロプラノロール内服治療を行うこともあります。入院が必要なので、適切な施設を紹介します。
レーザー治療は痛いので、治療前に麻酔クリームを塗っておきます。また、照射毎に冷却ガスを噴射する装置が元々付いています。さらに別のクーリング装置から冷風を吹き付け、痛みを軽減して照射します。冷却することで皮膚の損傷を抑えることができるので、強い出力で照射できます。